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  • 執筆者の写真Genesis

良しとされた私たちは


毎年2月は、アメリカなどでは黒人歴史月間(Black History Month)となっている。アフリカ系の人々の偉業を覚えると共に、その歴史について改めて考える期間となっている。

今回は、歴史を辿ってみようと思う。


※ここではアフリカ系の人々について便宜上「黒人」と表記する。


 わざわざ解説するまでもないことではあるが、アメリカに渡った黒人の歩みは壮絶であった。


 17世紀、"荷物"として不衛生な船でアフリカからアメリカに連れて来られた彼らは、奴隷として強制的に農園で働かされた。

 鞭で打たれ、言語はもちろん、宗教も文化も、アイデンティティの全てを白人の農場主らに奪われたのである。

 人間として尊重されることは一切なく、モノとして売買の対象にもなった。

 

 そんな中、彼らは白人の農場主からあることを強いられた。日曜日の礼拝である。

 

 彼らはそこで神と出会い、苦しい日々からの救いの希望を聖書に見いだしたのである。


 農場で作業しながら口ずさむ「労働歌」は、神を讃える内容であった。それがのちに、黒人霊歌と呼ばれ「ゴスペル」へと発展することになる。


 また、その労働歌は農園から脱出する黒人たちの合図にもなったりもした。


 当時の様子は映画「それでも夜は明ける(12 Years a Slave)」や、アマゾンプライムのオリジナルドラマ「地下鉄道(The Underground Railroad)」などで描かれているので、ぜひ観てほしい。


 1865年にリンカーン大統領により奴隷制度は廃止される。

 だが、これでめでたしというわけではなかった。その後は「ジム・クロウ法」など、合法的に黒人を差別できる法律ができたりもした。

 

 第二次世界大戦後も差別は続いていたが、1950年代のある事件をきっかけに事態は大きく動き出す。


 モンゴメリーという街で、ローザ・パークスという黒人女性がバスに乗っていた。彼女は「黒人専用席」に座っていたにもかかわらず、白人に席を譲れと言われ、譲らなかった。そして、警察はローザを逮捕。


 これに対して異議を唱えたのが、マーティン・ルーサー・キング牧師だ。彼を中心に「公民権運動」が本格化するのである。


 さまざまな抗議や事件の末、1963年には「ワシントン大行進」が行われた。

 キング牧師の「I have a dream」の演説はあまりにも有名だ。

「私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である(一部抜粋)」


 その翌年には「公民権法」が制定。ようやく人種差別が法的に禁止されたのである。


 それから60年近く経った現代。アメリカの黒人たちが築いてきた文化、特にジャズやソウル、ラップなどの音楽は日本に暮らす私たちにとっても馴染み深いものになった。

 映画にも黒人のスターが主役として出演している。


 しかし残念なことに、レイシズム(人種差別)は完全になくなっていない。


 2020年、白人の警察官が黒人のジョージ・フロイト氏を殺害したことで「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)」運動に発展したのは記憶に新しい。差別は決して終わってないのだ。

 

 日本人も差別と無関係ではない。戦時中には、日本が中国や朝鮮をはじめ、アジアの人々を苦しめてきた歴史がある。現代でも、日本に暮らす朝鮮半島にルーツを持つ人たちへの憎悪を煽る「ヘイトスピーチ」は大きな人権問題となっている。


 このような悲しい歴史は、私たち人間の罪の歴史といえるだろう。


 創世記は、私たち人間は神さまの似姿に造られたとしている。そして、神さまは造られたものを良しとされた。


 神さまは、私たちがどんな肌の色であろうが、どんな生まれ方をしようが、愛してくださるのである。


 良しとされ、愛される存在である人間が憎しみ合うことを、神さまは喜ばれるのだろうか。

 

 神さまが治めている歴史の上で暮らす私たちは、これからもそんな弱さを自覚しなければならないと改めて思わされる。


 最後に、キング牧師も好きだったというゴスペルの一曲「Take my hand, Precious Lord」を紹介したい。

 ゴスペルの女王とも呼ばれるマヘリア・ジャクソンが歌ったほか、あのエルヴィス・プレスリーもカバーしている。


公民権運動の際にも歌われ、皆で励まし合ったそうだ。歌詞の一部はこうだ。()内は簡単な和訳。


Precious Lord, take my hand

(尊い主よ、私の手を取って)

Lead me on, let me stand

(私を導いて、立たせてください)

I'm tired, I'm weak, I'm worn

(私は疲れ、弱り、やつれ果ててしまいました)

Through the storm, through the night

(嵐の中でも夜でも)

Lead me on to the light

(光へと導いてください)

Take my hand precious Lord, lead me home.

(尊い主よ、私の手を取って故郷へ導いてください)

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